Nature ハイライト

地球化学:地球の組成の代理指標としてのコンドライト隕石

Nature 537, 7620

今回C Burkhardtたちは、地球の前駆天体はコンドライト隕石に比べ、遅い中性子捕獲過程(s過程)の元素合成によって作られるネオジム(Nd)に富んでいたことを示している。s過程過剰は高い142Nd/144Nd比をもたらすため、この効果を補正すると、入手できる地球の試料とコンドライト隕石の142Nd/144Nd比は、5 ppmの精度では区別できない。従って、入手できる地球のケイ酸塩部分の試料とコンドライト隕石の142Ndの相違は、地球ではs過程で生成されたNdの比率が高いことを示しており、初期の分化過程を反映しているのではない。著者たちは、過去に提案されたような隠れた貯蔵庫や「超コンドライト的」地球モデルは不要であり、コンドライト隕石は地球よりも太陽から遠い所で作られ、地球とは異なる太陽系前駆物質の混合物を含んでいるが、それにもかかわらず地球の総化学組成の良い代理指標となる可能性があると結論付けている。

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