Nature ハイライト

視覚:脊椎動物と昆虫の目の類似性

Nature 468, 7321

19世紀末、神経科学の創始者とよばれているラモン・イ・カハールは、脊椎動物の網膜と昆虫の目が似ていることを見いだした。彼のこの結論は、解剖学的知見のみに基づくものだった。A Borstたちは今回、遺伝学と電気生理学の最先端の手法を使って、脊椎動物と昆虫の網膜回路の相似性を、機能のレベルで再確認した。ショウジョウバエ(Drosophila)に、光強度の急上昇に応答する動き感受性ニューロン(オン型ニューロン)と、減光に特異的に応答するニューロン(オフ型ニューロン)が別々に存在することがわかったのである。進化系統上は離れた動物種に同じような回路が生じたのが、光強度の変化に応じて動きを効率よく検出することに対する選択圧によるものであることは明らかである。

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